リリーは死んだ〜リリウムDVDのオーディオコメンタリー感想〜
最近リリウムのオーディオコメンタリーを見たので以下の謎を考えてみた。
1.末満「『或る庭師の物語』の庭師は誰のことでしょうか。ファルス?それとも…」
2.末満「少女純潔のダンスの最後でリリーとファルスのその後が暗示されているんです」
3.末満「紫蘭と竜胆はなぜ後半《シルベチカが死んだことをみんなに告白した》シーン直後で、
ファルスのイニシアチブで再び記憶を消されて元通りになっているのか。その謎がある」
→紫蘭と竜胆は実はイニシアチブが効かなくなっていたのか。記憶はある?
まず、紫蘭と竜胆はずっと「シルベチカ」を覚えている。
このシーンで
紫蘭「ねえ竜胆。このクランでは何が起こっているのだ」
竜胆「リリーのことね」
紫蘭「どうしてあの子だけはシルベチカのことを覚えている。ほかの皆は忘れてしまっているのに」
イニシアチブが効かなくなって、その一つの現れとして、「記憶が消せなくなった」イコール「不死」になったとはどこにも表現されてない。
スノウは、イニシアチブが効かなくなっているから「シルベチカを覚えている」のは当然として、
紫蘭と竜胆はイニシアチブが効いているが「シルベチカを覚えている」とは一体どうしたことか。
それはクランの皆が飲まされている、ファルスの生血が入った秘薬の効目の大小ということではないか。
イニシアチブが効かなくなってきているのは、秘薬のおかげというより、ご主人であるファルスの血を体内に取り込んでしまう度合による。
「不死」にするための秘薬だが、それは同時にイニシアチブが効かなくする効果も持っていた。
それゆえ、まずスノウが続いてリリーに対するイニシアチブが効かなくなってしまった。
ファルスに近くなってしまった者からは、記憶が消せなくなってしまった。
それには段階があって、記憶を完全に消されてしまうもの(クランのほとんどの者)、
記憶が微かにのこっているもの(キャメリア)、記憶が残っていてそれを思い出せる者(リリー、スノウ、紫蘭と竜胆)ということになる。
秘薬の効果→ファルスに同化→イニシアチブが効かなくなる(弱まる)
→記憶が消えない(一部記憶がある)→では不死となったのか?→なってない!
この世の中で「不死の存在など作ることができないのだ」と末満氏は言いたかったのではないだろうかと思った。
終わりがあること、つまり死があることは幸せなんだと思う。
以下は、私なりの答え。
1番目の謎は庭師はリリー。
クランの仲間をイニシアチブによって相互虐殺してしまって1人取り残されたりりー。
孤独のあまり花を育てても、また育てても枯れてしまう。
枯れない花を作ろうを研究したがついに力尽きて倒れた。
その庭師の上に一輪の花が咲いた。
ファルスが去った後、秘薬の効果は徐々に薄れていった。
シルベチカと同様、リリーは急激に年をとって寿命で死んでいく。多少、無理やりな論だが、最後に朽ち果てるということはファルスではないだろう。
2番目の謎はファルスだけが残る。リリーはやがて死ぬ。
「少女純潔」のダンスは最後、ファルスが中心に立って放射線状にメンバーが倒れる。最後にゆっくり倒れるのが鞘師ちゃん(リリー)だ。
これは完全に騙された。
だってリリーは何回も自分を刺して「心臓を貫い」たはず。
けれど脚本家が「ダンスが今後を暗示している」と言ってるからそう考えるとしよう。
ま、言われてみれば最後のシーンは、リリーやスノウたちの声が妙にエコーかかっててまるで夢のなかのようだ。
これはリリーの死ぬ間際の走馬灯というか、意識の最後の踏ん張りだったのかなと。
「待って!置いてかないで!私を一人にしないでよー!」これは夢。ああそう考えると少し気分が軽くなってきました。
リリーがやがて死んでファルスの永遠の孤独から解放される。
ファルスだけが永遠に贖罪のため生き続けなければいけない。
末満さんの奥さまが「ファルスが一番可哀想」といった意味が分かったような気がします。
3番目の謎
紫蘭と竜胆はファルスのイニシアチブが効かなくなっていたと思う。
上の会話シーンとその続きでそれがわかる。竜胆は「壊させはしない。
われらの永遠の繭期を」とはっきり呟いているからね。
紫蘭と竜胆のファルスの悪も孤独も全部理解し受け入れた上での、冷酷とも思えるクランでの振る舞いは、
ある意味この二人こそが、悲劇の深奥に落ちる人物なのではないか、とすごく胸が痛くなった。
末満さんも「紫蘭と竜胆がなぜファルスの考え方を受け入れたのか、その経緯だけで別の話ができる」って話していました。是非作ってください!
8月30日「思春期ごっこ」未来穂香・青山美郷主演@新宿武蔵野館
先日劇団ハーベストの公演を見に行ったのと、「反重力ガール」公演DVDを見て、青山美郷さんが気になってました。
そんな俺を誘うかのようなタイミングで、この映画が上映された。
そこにはコミカルな「反重力ガール」での青山美郷さんと全く違った、青山美郷さんが映ってました。
1.描く、描かれる
辻沢三佳(青山美郷)と蓮見鷹音(未来穂香)は同じ女子中学校へ通う親友。
放課後、鷹音が三佳をモデルに、キャンバスに向かうシーン。
美術室シーンだけですべてと言ってもいい映画ですね。少女たちの関係性の変化というか昇華。
鷹音のキャンバスに向かう表情は真剣そのもので、まさに美少女。やや性格はキツそう。
一方の三佳は、劇中小説「思春期ごっこ」を読みながら、のほほんとモデルになってる。
青山さんは、小柄で本当に中学生に見えますね。いや、19歳の女性にはとても見えない。
三佳と追いかけっこするときのあどけない表情は、柔和で無垢な女子中学生そのもので、まずそこから驚きました。
モデルをやってほしいと言ったのは、普通に考えて鷹音だし、終始鷹音がモデルの三佳を見ているという構図。
パンフのあらすじには「淡い恋心のようなもの」とかあるけど、見たところ鷹音は、もう止まらない恋に浸食されつつある。
三佳はじっとしてさえいれば、好きな本読めるからいいかな程度の気持ちでモデルやってそう。
このシーンは、親友との穏やかな空気を吸ってる三佳に対し、親友に恋い焦がれてしまっている鷹音、という歪みが透けてきて心がチクチクした。
「思春期ごっこ」を読む三佳の目が優しいときと、刺激に飲まれて怯えるような目のときの、青山さんの演じ分けが上手かった。
基本的には、柔らかな視線をページに落としていて、見ていると安らぐ。天性の三佳の周囲に与える安心感がそこかしこ。
鷹音は三佳を描く一筆一筆に愛情を込めている。そんなことに気づかぬ三佳は、鷹音の異性的視線に徹底的に搾取される。
だた、モデルの三佳のほうも、今まさに親友に全身を無遠慮に眺められ、描かれているのだという皮膚感覚は持ち合わせているだろう。
鷹音にモデルとして必要とされてる、という充足感に包まれて、ホカホカしている三佳の顔は無邪気な少女だ。
三佳は受動的な存在としてまだそこにあるが、物語の展開につれ実は能動的な少女だったと気づく。
鷹音は描く、三佳は描かれる。
そんな美術室のシーン自体が、午後の淡い日差しと少女の甘い視線が交錯する静物画だった。
2.書ける、書けない
三佳は図書館で偶然、愛読書「思春期ごっこ」の著者である花岡奈美江(川村ゆきえ)と出会ってしまう。
奈美江は図書館司書として働いていた。
奈美江のどこか不安げな目つきは、最初から物語に暗い予感を漂わせるけど、こういうメランコリーな美人の表情好きです。
憧れの小説家に出会えた喜びを全身で表現する三佳。小説「思春期ごっこ」について矢継ぎ早に質問する三佳。
目を大きく見開いてまっすぐ小説家・奈美江に話しかける三佳と、後ろめたそうに目線を合わせない奈美江の横顔。
それを同時に映し出すカメラアングルも良かった。
もう今は創作のインスピレーションが浮かばず、ただ日常にのみ生きる奈美江だった。
しかし、突然「読み聞かせ会への新作の発表」依頼が舞い込む。
夜、自宅マンションでパソコンに向かう奈美江だが、一向に書き出せないでいる。
メガネをかけ、半裸みたいな恰好でセクシーにタバコを飲んでる。
実は、エンドロールで元グラドルの川村ゆきえさんと知った。川村さん陰のある演技上手くて驚きました。
そして「読み聞かせ会」当日、鷹音との高校見学の約束を直前で断り、全速力で奈美江のいる図書館へ向かう三佳。
吹き抜けの広場で子供たちの前で「夢をたべる」という新作童話を朗読する奈美江。
そこに三佳が現れるが、顔面蒼白無表情で全身から力が抜けたように、その両手はだらりと下ろしたまま立ってる。
「夢をたべる」は三佳がこどもむけに書き下ろした小説だったのだ。
三佳「あれ私の小説ですよね」
奈美江「あのね、これはね…。三佳ちゃんの文章をわかり易く手直ししてね…」
三佳「なんで謝らないんですか」
奈美江「…」
三佳「ゼロから話を創るのがどれだけ大変なことか、知ってますよね」
感情を失ったかのような顔から、凄味のある嫌味な言葉をなげかける青山さんの声。背筋が凍る思い。
ナイフのような言葉は、奈美江の心臓を抉りとり、微かに燃え残っていた作家としてのプライドを完全に奪い去った。
女子中学生の、世間に染まってない真っ直ぐな感情ってナイフより尖っている。
無垢さの前では、大人の事情など全く価値のないガラクタになってしまうのだ。
まあまあここは穏便に、など悠長なことは言えない。中学生には今しかないのだ。
積み重ねられた過去がない分、汚れや迷いも蓄積がない透明さ、そして正義感にいつも大人は負ける。
三佳「読みやすい文章だって言ったじゃないですか。それに奈美江さん最近本読んでますか。」
奈美江「…」
三佳「どれもこれもみんな古い本ばっかり…」
三佳「こんな人尊敬していたなんて…」
このシーンは三佳が画面の手前、後ろに奈美江の構図。
最後の最後まで、三佳は奈美江の目も見ず、顔すら向けることなく去っていく。
ここまで来ると、三佳より奈美江の方に共感してしまう。やさぐれた大人としては。
昔を思い出し「中学生の女子って恐ろしかったよなぁ」って回想してました。
このシーンは盛り上がるのは、創作することの苦しみ、それが盗まれたときの絶望・怒りなど、監督の芸術への思い入れが入ってるからだろうな。
俺は小学生のときと中学生のときにちょっと小説書いてみよう、と思って挫折したことあります。
子供ながらに結構ショックを受けたことを覚えてます。
いかにゼロから何かを創るのが難しいか、わかりました。
そういえば、三佳役を演じるにあたって青山美郷さんは、短い小説を書いたらしいですよ。
凄い情熱!尊敬します。
小説を盗まれたことに激怒し、大人に裏切られる、という経験を得て成長する三佳の役づくりって大変だろう。
三佳のこの場面の冷酷な態度。もう少女から大人へ無理やり脱皮させられてボロ布一枚にされてしまったような感じで震えました。
悲しい…悔しい…という声なき声を背中で語っているようでした。
書けない、奈美江に、書ける三佳。小説という夢のかけらを奪われた三佳の哀しい一日。
3.振動
鷹音「帰ってください。」
奈美江「え…」
鷹音「そこに三佳が座ってたんです。ずっと二人だけの時間だったんです。それをあなたが壊した…」
奈美江「…そんな…」
鷹音「かえれー!」
未来穂香さんの怒号に一瞬記憶が途切れた。
それまでの感情を極力抑えたような演技から一転、獣が外敵を威嚇する雄叫びか。
その剥き出しの感情が、スクリーンを突き抜けて、観客である自分をも標的にしてくる。
本能的恐怖が、閃光のように今、劇場内を駆け抜けて蒸発していった。
そのあと奈美江をグッと睨みつける表情は、あたかも怒りを何遍も上塗りして完成させた、呪うという顔だ。
感情を表にはっきり表さない鷹音。しかしこの美術室には、三佳を奪われた、という被害妄想が水蒸気となって充満していた。
鷹音役の未来穂香ちゃんは、この咆哮があったから好きになった。
可愛さを金繰りすてて放った一発のセリフに惚れました!
「かえれー!」という鷹音の怒号によって、ストーリに振動が生じ、物語はクライマックスへ。
4.闇に浮かぶ水槽と鯉、そして溶けながら沈んでいく鯉の餌は
水着で中学校のプールに浮かぶ鷹音。まるで夜の水槽に浮かぶ鯉。しかも死にかけの鯉。
もう失ったはずの三佳との恋。その恋が死体になってプールに漂うシーン。
そこへ松葉杖を突きながら三佳が現れる。呼び出されたのだ。
これからの展開は、瞬きもせず、二人の美少女の演技に酔いしれたい。
浮いていた鷹音は無言で立つ。三佳の水着だった。
鷹音が自分の水着を着ているのを見て、混乱する三佳。徐々に近づく鷹音。
三佳がその手をとりプールから引き上げようとした瞬間、猛然と鷹音によって水槽へ引きずり落とされる三佳。
もう三佳は鷹音の餌に過ぎなかった。感情など考慮されない、ただ捕食されるのを待つばかりの餌。
欲しくて欲しくてたまらなかった。もう鯉は餌を我慢しない。
鷹音「三佳。好きだよ」
焦燥感の漂う声。声はどこか妖しげな艶やかさと奇妙な滑らかさで発せられた。
制服のまま、しかも右足をけがしている三佳はすぐに鷹音に捕まってしまう。
三佳「やめてよ!気持ち悪い!」
鷹音をほとんど投げ飛ばしながら、自分の唇を乱暴に手で拭う三佳。
三佳の叫びは、限りなくカラカラに乾いた響きだった。耳を疑うほどの、とげとげしい声で三佳を引き剥がした。
鷹音の強引な接触が小説「思春期ごっこ」のシーンと重なり、瞬間的に心が破裂してしまったのかもしれない。
憧れた人から小説を奪われ、親友との信頼関係を失った、抜け殻のようになった三佳がプールサイドのシャワーをくぐる。
小さい三佳の後ろ姿が、色を失って消えていくように見えた。
5.号泣と慟哭のタイムカプセル
ずぶ濡れの三佳は、奈美江のマンションを突然訪れた。
こんな姿を両親が見たら心配するし、女子中学生が寄れる場所なんて限られてる。
三佳は映画では出てこなかったが、以前にも奈美江を訪れていたのだろう。切ないですね。
奈美江に「風邪ひいちゃうよ」と促され浴室でシャワーを浴びる三佳。
この映画では、随所に劇中小説「思春期ごっこ」の場面がサブリミナル的に挿入されている。
そしてモノクロの「思春期ごっこ」シャワーシーンとの交錯が始まる。
このシーンにおいて、小説と映画における現実が最大級の混濁を起こす。
未だに三佳の「やめてよ!気持ち悪い!」というセリフのショックを引きずっている俺。
女児のような「うえーん」、という弱弱しい泣き声が聞こえてくる。
泣き声が少女の号泣へ変わり、一気に大人の慟哭へと登り詰めていった。
未来穂香さんの声の出し方の上手さに感動した。今だから言えることですが。
映画館では、その後悔と悲しみと寂しさがヘドロとなってうねるような慟哭に、頬が泡立つような悲しみを感じた。
鷹音の慟哭は、奈美江の思念であり、14年前「思春期ごっこ」で描かれた小説というタイムカプセルのふたを開けたのだった。
思春期ごっこは、現在の鷹音の語りがあり、中学時代の鷹音と三佳の物語と、小説「思春期ごっこ」の三層構造になっている。
3つの時代(時空)を行き来して編まれているので、ちょっとしたタイムトラベル気分になりました。
6.湧水
美術室。キャンバスに向かう鷹音から三佳を見たカメラアングル。
そこにはもう鷹音はいない。モデルを手伝っていたときの位置に、三佳がぽつんと座る。
しんと静まりかえった教室で、鷹音との時間を懐かしむように、三佳はただそこに座ってる。
なぜか10年経ったような気さえする。たった数か月前のことなのに。
三佳は、そんなこと思っていたのだろうか。
いったん座ったら三佳は、まったく動かなかった。表情だけで胸にくるシーン。
引きのアングルがパッと三佳のアップに変わる。何も言わない。
ぼうっと想いにふけっていた三佳は、一瞬笑顔になるが、目に涙が沁みだしてきてこぼれた。
青山美郷さんという女優がもつ純粋さが溢れて輝いてた。
一緒に観た友人と映画後に飲んで感想戦したんですよ。
そしたら「青山さん」の話が中心になった。この映画の感想は一言でいうと青山美郷さんなんだ。
トークショーで見せた天然っぽさ(演技かも)、映画で見せた純粋さ(演技)など19歳にしてたくさんの心模様を映し出す、
青山美郷さんの女優としての底知れない凄さ、恐ろしさを存分に堪能できる映画でした!
ここまで長文を読んでいただき、ありがとうございました。
気に入ったフレーズをメモ
「友情とは、求める相手のいることよりも、求められる相手のいることの方が、より大きな喜びとなるものであるのかもしれない。」
平野啓一郎「葬送」第一部(下)P198
8月5日「裏と表とコーヒーフロート」劇団ハーベスト〜フロートチーム〜@ステージカフェ下北沢亭
昼公演に引き続きお邪魔してます。夜公演はフロートチームのみなさん。
昼公演アフタートークの後、
お見送りで「今回はダブルキャストですのでそれぞれのチームの違いを見てください」
と萌花さんから業務命令が下ったので、そこらへんを意識したいと思いました。
でも「女の子は比較されるのが大嫌い」という格言を思い出したので、ほどほどにしますね〜
☆開演前
今回は騙されないぞ。もう舞台は始まっているのだ。
下手は舘岡潤役の広瀬咲楽さん、上手のメガネっこは野々村りみ役の宮武さん。
物販売やってるけどステージ上に注目。
あれ?開演前のオモシロ諸注意の内容がさっきと違う。
広瀬「今日はみんな来てくれてありがとう!」「アリーナ!Say YEAH!」とか
矢沢永吉の武道館ライブ映像みたいになってきたぞ(イメージ)。
広瀬さんメモ帳をマイクにみたててダイナミックなパフォーマンス。
これが観劇上の諸注意であることを忘れてしまう。
大股開いてしゃがんで広瀬「次に歌う曲はめちゃくちゃハイテンポの曲だぜ!お前らついてこれるのかー!」
なんなんだーこの諸注意…楽しすぎる!!
広瀬「みんな今日ドリンク買ってくれたよな。ライブ中は手に持つか、座席にあるドリンクホルダーに置いてくれよな!」
広瀬「そのドリンクホルダーがちょっとロックなホルダーだから気を付けてくれよな!」
広瀬さんのロッカー顔負けの煽りに「うぇーい!」って反応できなかったダメな俺。
でも、翌日のフロートチームのときは思い切り叫んだよ。
広瀬さん5メートル先の壁を500メートル先の観客席を見ているような目しながら、
「Aブロックのみんなー!」って呼びかけていてヤバい!
一人エチュード武道館ライブか!!!「この子誰にも止められねえな」と感動した。
☆久保田紗友
お遣いから帰ってた金山海咲役のくぼさゆこと久保田紗友さん。
ちょっと待って久保田さん美し過ぎる。ちょっと待って久保田紗友思わず見とれた。
さっき見たストーリーからしたら、海咲役は個性派なコミカルな子って感じですよね。
くぼさゆみたいな超絶美少女だとしっくりこないんじゃないかな?って一瞬不安がよぎる。
くぼさゆは凸出しでポニーテールだったけど、すっきりした眉毛に意思の強そうな透明な瞳が印象的。
凸出しでこんなに整った顔の女の子はひさしぶりに見た気がする。
俺は美少女にはコミカルな役は似合わないと思うんだよね。
ていうか、やってほしくないというか。
くぼさゆにこの役できんのかなぁ。
コーヒーチームの布施さんはかなりパンチ効いてたからと疑心暗鬼…
くぼさゆ「ただいまー。」
広瀬「なんなんですかそのサングラス」
くぼさゆ「夏満喫〜って感じ」
おお?けっこう思い切りのいい演技するんだね。恥じらいもないし見ていて清々しい。
「私は美少女だからこんなことできない」
なんて態度の女の子っているじゃんときどき。
当然だけど心のどこかにそういう気持ちあると、ひょいと顔を見せるときがある。
でも、くぼさゆはそういう気ナッシング!
☆お客様!それはご注文ではございません!
フロートチームでさくらお嬢様役は弓木菜生さんでした。
コーヒーチームの悠巴ちゃんとはまた違った個性あった。
背が高く首も細く綺麗でスタイルが抜群だったなー。
だけど、ほわんとした表情でちょっと猫背気味なところが可愛かった。
終演後の挨拶をいきなり振られても、「今日はありがとうございました!」しか言えない菜生ちゃんはお嬢さまそのものだったわ。
菜生さん絡みのところで「ウッ」と俺一人嗚咽を漏らしてしまったシーンがありましたが、どこか忘れました。
海咲の妹の風香ちゃんが「お姉ちゃんは全然自立なんてしてない。そうやって逃げているだけ」
ってガンガン海咲を追い詰めていて、それに菜生さんが「海咲さんは自立していると思います!」
みたいに反論した場面のどこかだったと思うけど…。
嗚咽したのはこのあたりの一連のやりとりが、自分の今の心境に共鳴した結果かもしれない。
海咲みたいに同県だけど一応実家を出て一人暮らししている。でも本当に自立しているのかなとか。
俺も色々なものから逃げているんじゃないかなとか。
劇が日常に雪崩れ込んできたような感覚だった。
菜生「このお店で働かせてください!」と今まで貯めてきたお年玉を持ち出す。
くぼさゆ「さっ、札?!」
完全に金に目が眩んだ顔だ!
広瀬「ダメですよ。先輩!」
くぼさゆ「大丈夫。ここは私にまかせといて」
くぼさゆ「さくらちゃん。いくらお客様のご注文でもお受けすることはできません。」
手にしたお年玉を顔の高さまで持ち上げる菜生さん。
くぼさゆが振りかえると鬼の顔した広瀬さん。
くぼさゆ「でも〜。」
広瀬「ダメです」
お姉ちゃんに怒られ半泣きみたいな久保田さん可愛い。菜生さんのほうに振り返り、
くぼさゆ「さくらちゃん。本当にごめん!やっぱりだめだよ。」
菜生がお年玉を久保田さんの顔の位置まで持ち上げてるのを指で下げるくぼさゆ。
菜生「どうしても自立したいんです。お願いします!」
無言で振り返る。鬼の広瀬。くぼさゆの困った顔が美しい。
くぼさゆ「でもさくらちゃんは困ってる!」
広瀬「先輩!?」
くぼさゆ「なんとかしてあげようよ!」
記憶が曖昧で、セリフや動きに違う点が多々あるとは思いますが、
くぼさゆと広瀬さんの絶妙なコンビネーションは思わず吹き出しました。
広瀬さんの「先輩!?」と叫んだときのギョロ目の迫力は凄まじかったね。
俺はくぼさゆの不敵な笑みもかなり好きだ。
☆広瀬咲楽と久保田紗友の別れのエチュード
エチュード(即興劇)風の劇中劇で広瀬咲楽さんの魅力が爆発してた。
萌花「この小さい店で3人の店員というのはちょっと…」
広瀬「そうだ。先輩辞めてください!」
くぼさゆ「ちょっと〜地味に傷つくよ〜」
役作りの浅い先輩くぼさゆに代わり、ハリウッドデビューというとんでもないバイト辞める理由をブチ上げる広瀬さん。
それでも嬉々としてエチュードにのっかってく久保田さん可愛い!
エチュードでは久保田さんと広瀬さんの役者魂を見せつけられた。
広瀬咲楽さんの劇中エチュードの「せんぱーい」という大空へ放ったような呼びかけ声が好きです。
ハリウッドのあるカリフォルニア州ロサンゼルス市に向けて遥かなる目線を投げかける広瀬さん。
目がキラキラしてきてる。
これは顔にあたる暖色系照明のせいばかりではないハズだ!
陶酔したような広瀬さんの口はわずかに開いていて、俺はその口の中ばかり見ていた…
狂気と陶酔のなか「別れのエチュード」が終わって、
くぼさゆが「ふ〜ざ〜け過ぎ〜」って広瀬さんと抱き合って笑うとこ楽しい。
☆伊集院さくらの兄は微熱DANJI!
伊集院さくらの兄役の錦織純平さんもインパクトあったよね。
常務はガタイがすごい決断の鬼らしいけど、チャーミングなお兄さんだった。
何故かメイド服着て出迎えた妹のさくらを見て声のない「萌〜」をした顔がまさにアニヲタ!
一方、「藤堂、報告しなさい!」と威厳のある声で叱責するときの錦織さんはまじビジネスマンだ。
上手いな。尊敬するなー
ってか俺の方が10歳年上じゃねーか!
おい!純平くん!悠巴さんが妹役なんて羨ましいぞ。
最近特に自分より年下が活躍しているのが気になる。
ぺーやんのあの厚い胸板から繰り出す太い声は、悠巴ちゃんを吹き飛ばさないか心配でした。
萌花「常務!カメラカメラ」
錦織「そうだ。カメラだカメラだ!」
さりげなく花束を持った広瀬さんを撮影して嵐のように去っていくシーン。
尊大なのにお茶目さたっぷりな演技が見事でした。
☆まとめ
配布されたアンケートに「あなたの裏と表を教えてください」という項目がありました。
相当真剣に回答してしまって、今はただただ恥ずかしいばかりです。
裏表ない人とか褒め言葉があるけど、人間なんて裏もあって当然だよね。
このタイトルからして興味がそそられてしまったんですよ。
最近仕事がかなり辛くて、誰かの救いを求めていたので、こんな楽しい劇を見させてもらって本当感謝です。
劇団ハーベストは、今日が初めて見た女の子たちでしたけど、
なんか大家族みたいなぬくもりがギュッと詰まった集団なんだと思った。なんかみてて安心する。
今回で劇団ハーベストさんは第6回公演。「原点回帰」もテーマだったらしいですね。
ハーベストを原点から見てませんが、なんとなくこの「ぬくもり」こそハーベストの「原点」なのではないでしょうか。
秋にハーベストがないとか死ぬ!泣
秋は「収穫(ハーベスト)」の季節ですよ!それなのになぜ…?
冬の下北沢亭での新公演が待ち遠しいですね。
以上、長文失礼いたしました。終わり!