リリーは死んだ〜リリウムDVDのオーディオコメンタリー感想〜






最近リリウムのオーディオコメンタリーを見たので以下の謎を考えてみた。


1.末満「『或る庭師の物語』の庭師は誰のことでしょうか。ファルス?それとも…」



2.末満「少女純潔のダンスの最後でリリーとファルスのその後が暗示されているんです」



3.末満「紫蘭と竜胆はなぜ後半《シルベチカが死んだことをみんなに告白した》シーン直後で、

ファルスのイニシアチブで再び記憶を消されて元通りになっているのか。その謎がある」

紫蘭と竜胆は実はイニシアチブが効かなくなっていたのか。記憶はある?


まず、紫蘭と竜胆はずっと「シルベチカ」を覚えている。



このシーンで


紫蘭「ねえ竜胆。このクランでは何が起こっているのだ」

竜胆「リリーのことね」

紫蘭「どうしてあの子だけはシルベチカのことを覚えている。ほかの皆は忘れてしまっているのに」

イニシアチブが効かなくなって、その一つの現れとして、「記憶が消せなくなった」イコール「不死」になったとはどこにも表現されてない。

スノウは、イニシアチブが効かなくなっているから「シルベチカを覚えている」のは当然として、
紫蘭と竜胆はイニシアチブが効いているが「シルベチカを覚えている」とは一体どうしたことか。


それはクランの皆が飲まされている、ファルスの生血が入った秘薬の効目の大小ということではないか。

イニシアチブが効かなくなってきているのは、秘薬のおかげというより、ご主人であるファルスの血を体内に取り込んでしまう度合による。

「不死」にするための秘薬だが、それは同時にイニシアチブが効かなくする効果も持っていた。


それゆえ、まずスノウが続いてリリーに対するイニシアチブが効かなくなってしまった。

ファルスに近くなってしまった者からは、記憶が消せなくなってしまった。

それには段階があって、記憶を完全に消されてしまうもの(クランのほとんどの者)、

記憶が微かにのこっているもの(キャメリア)、記憶が残っていてそれを思い出せる者(リリー、スノウ、紫蘭と竜胆)ということになる。


秘薬の効果→ファルスに同化→イニシアチブが効かなくなる(弱まる)

→記憶が消えない(一部記憶がある)→では不死となったのか?→なってない!


この世の中で「不死の存在など作ることができないのだ」と末満氏は言いたかったのではないだろうかと思った。

終わりがあること、つまり死があることは幸せなんだと思う。

以下は、私なりの答え。


1番目の謎は庭師はリリー。

クランの仲間をイニシアチブによって相互虐殺してしまって1人取り残されたりりー。
孤独のあまり花を育てても、また育てても枯れてしまう。

枯れない花を作ろうを研究したがついに力尽きて倒れた。
その庭師の上に一輪の花が咲いた。

ファルスが去った後、秘薬の効果は徐々に薄れていった。

シルベチカと同様、リリーは急激に年をとって寿命で死んでいく。多少、無理やりな論だが、最後に朽ち果てるということはファルスではないだろう。


2番目の謎はファルスだけが残る。リリーはやがて死ぬ。





「少女純潔」のダンスは最後、ファルスが中心に立って放射線状にメンバーが倒れる。最後にゆっくり倒れるのが鞘師ちゃん(リリー)だ。

これは完全に騙された。

だってリリーは何回も自分を刺して「心臓を貫い」たはず。

けれど脚本家が「ダンスが今後を暗示している」と言ってるからそう考えるとしよう。


ま、言われてみれば最後のシーンは、リリーやスノウたちの声が妙にエコーかかっててまるで夢のなかのようだ。

これはリリーの死ぬ間際の走馬灯というか、意識の最後の踏ん張りだったのかなと。

「待って!置いてかないで!私を一人にしないでよー!」これは夢。ああそう考えると少し気分が軽くなってきました。


リリーがやがて死んでファルスの永遠の孤独から解放される。

ファルスだけが永遠に贖罪のため生き続けなければいけない。


末満さんの奥さまが「ファルスが一番可哀想」といった意味が分かったような気がします。

3番目の謎

紫蘭と竜胆はファルスのイニシアチブが効かなくなっていたと思う。

上の会話シーンとその続きでそれがわかる。竜胆は「壊させはしない。

われらの永遠の繭期を」とはっきり呟いているからね。

紫蘭と竜胆のファルスの悪も孤独も全部理解し受け入れた上での、冷酷とも思えるクランでの振る舞いは、

ある意味この二人こそが、悲劇の深奥に落ちる人物なのではないか、とすごく胸が痛くなった。


末満さんも「紫蘭と竜胆がなぜファルスの考え方を受け入れたのか、その経緯だけで別の話ができる」って話していました。是非作ってください!