6月5日リリウム 少女純潔歌劇@サンシャイン劇場




見終わったら泥のような絶望感。

この劇は救いがない終わり方をしました。

けれど大好きだ。こういう劇。


物語の登場人物はみな悲劇のヒロインだけどとりわけ不幸な子が二人いる。


シルベチカ?いやいや。彼女は最後に自らの意思で生きる権利を取り戻たじゃないか。

その直後塔から飛び降りて幻想から解放され美しい魂になった。


スノウ?違う。スノウはファルスに一番愛されてたし最後は死ねた。

死ねたというのが永遠の苦悩からの脱出つまり安らかな眠りになったのだ。

死が不幸とだれが決めた。リリウムを見ろ


マリーゴールド?いやいや。愛する人がいる。

そしてそのひとに思いを告げて死ねたんだ。俺からしたら幸せだよ。


クランの謎と自らの運命を知ったうえで講義をする紫蘭と竜胆にこそこの物語の一番の狂気と悲劇を見る。

ファルスへの憧れか同情。それとも自らの美貌が永遠に保たれることへの執着心か。


紫蘭はファルスに憧れ尊敬していた風もある。

それに対して、竜胆は美の永遠に対する執着心からすべてを受け入れているように見える。


でも2人は知っている。不老が不死にはならないことを。


シルベチカは自殺した。

この狂気の園に絶望し、せめて最後は自らの意思で。それを見た2人は何を感じた。

不老と引きかえにいつ訪れるとも知れない死を意識し続ける人生。震えたでしょう。


何も知らないほうが幸せだな。知ってるってことは恐ろしいこと。


だがエンディングで全ての悲劇がリリーただ1人にのしかかる。

リリー可哀想だよ。俺なら殺してくれ!頼む!生かさないで!と叫びたいよ。

繰り返される自殺発狂、リリーの永久の苦しみのはじまりで幕が下りる。




いやー、ハロの現場とは思えないこの観劇後の重い雰囲気。

鬱に鬱を重ねるような気分になりまして食欲も減退しましたが、

不思議と翌日にはこの物語の面白さを誰かに伝えたくて仕方なくなりました。


帰りにサントラを買ったんだけど大正解。毎晩聞いてます。

最後にその中から「永遠の繭期のおわり」の好きな歌詞を置いておきます。


「夢のなかで夢を見てはいけない 現実にこそ夢の花は咲く」